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【現役化学者が考察】洞窟に咲く毒の花!キラフロルのお話

ポケモン化学図鑑
とまてん
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この記事では現役化学者・とまてんがポケモン・キラフロルについて科学的な視点で考察します!

キラフロルについての基本情報

第9世代・ポケットモンスタースカーレット・バイオレットから登場したこうせきポケモン・キラフロル。岩・毒タイプポケモンで、パルデア地方のポケモンリーグ委員長でチャンピオンランクのオモダカさんの切り札ポケモンとして登場します。同じタイプのポケモンとしては進化前のキラーメ以外ではウルトラビーストのウツロイドがいますが、どちらも無機質でどこか幻想的な雰囲気のあるポケモンです。

名前の由来はキラキラ輝く(テラスタル?)もしくはキラー(killer、殺人者)+flor(スペイン語で”花”の意味)とされています。スペインがモデルのパルデア地方にふさわしいネーミングになっている一方で、毒タイプらしいダークな面を併せ持つ雰囲気も感じられます。

また英語名は”Glimmora”で、glimmer (かすかな光)とFlora(フローラ:花の女神)を組み合わせた名前になっています。英語名だけ聞くと草タイプやフェアリータイプのようにも感じられますね。

図鑑の説明では

毒エネルギーが 結晶化した 花びらは テラスタルの 宝石に 似ていると 最近 判明した。

ポケモン・バイオレットの図鑑説明文より

とあるように、宝石のように輝く毒の花をモチーフにしたポケモンであることが分かります。エリアゼロの最深部に生息していて、さらにテラスタルの宝石に似ているということからテラスタル現象に何らかの関係がありそうですが、ストーリー中ではこれ以上の情報は出てきません。謎の多いポケモンです。

とまてん
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キラフロルを使うオモダカさんもなんか怪しい雰囲気ですよね・・・

キラフロルは岩・毒複合タイプで地面タイプが四倍弱点ですが、固有の特性「どくげしょう」が非常に強力で、物理攻撃を受けると相手の場にどくびしを撒くことができます。この特性を生かし、先発要員として相手の場を荒らす唯一無二の性能を発揮することができます。

一方で相手全体を毒状態にしつつ、ステルスロックなどの設置系の技の効果を解除するキラースピンという固有技を習得し、相手の搦め手ポケモンをけん制できます。さらにそこそこのすばやさと高いとくこうから繰り出される様々なタイプの特殊技で奇襲をかけることもできます。相手にするとなかなか厄介ですが、自分で使うとしっかり良い仕事をしてくれる頼れるポケモンだと実感できます。

毒の花・キラフロルの結晶について

キラフロルの体は鮮やかな青い鉱石でできていますが、この青色にもちゃんと理由があります。現実世界にも青い鉱石は存在しますが、その中でカルカンサイトと呼ばれる鉱石がキラフロルの元ネタになっています。

引用元:https://wakou-stone.co.jp/

カルカンサイトとは?

カルカンサイト(Chalcanthite)はひと際鮮やかな青色の鉱石で、日本では胆礬(たんばん)とも呼ばれます。その主成分は硫酸銅(Ⅱ)五水和物(CuSO4・5H2O)です。理科の教科書にも載っているので、再結晶の実験をやったことがある人もいるかと思います。

硫酸銅(Ⅱ)五水和物の結晶(Wikipediaより)

カルカンサイトという名前は、ギリシャ語でを表す”khalkos”とを表す”anthos”を組み合わせたものと言われています。その名の通り洞窟に咲く青い「銅の花」です。

ちなみにカルカンサイトはスペインでも産出されるそうで、パルデア地方にキラフロルが生息していることにもぴったり合っていますね。

カルカンサイトの毒性について

カルカンサイトは二価の銅イオン(Cu2+)と硫酸イオン(SO42-)で構成されていますが、重金属である銅イオンには毒性があるため取り扱いには注意が必要です。実際、主成分の硫酸銅(Ⅱ)五水和物は毒物及び劇物取締法により、医薬用外劇物に指定されています。このことがキラフロルが毒タイプたる所以だと推測されます。

カルカンサイトと毒化粧

カルカンサイトとキラフロルを関連付けるものとして、キラフロルの特性・どくげしょう(毒化粧)があります。冒頭ではキラフロルの説明をした際に、相手から物理攻撃を受けると場にどくびしをまき散らす効果がある特性・どくげしょうについて触れました。

ここでカルカンサイトの物性について見てみると、鉱物ではあるものの脆く崩れやすい結晶であることが知られています。鉱物の傷つきにくさを示すモース硬度は2.5で、石膏並みの硬度です。

つまり、結晶が脆いため物理的な衝撃を与えることで、カルカンサイトは容易に砕けることが分かります。要するに、砕けることによって硫酸銅の破片が飛び散る=毒の破片、どくびしを撒くという毒化粧の特性はこれに由来すると考えられます。

また、カルカンサイトと同じく青い宝石としてサファイアが有名ですが、サファイアはモース硬度が9と、ダイヤモンドの次に硬い鉱石です。カルカンサイトは宝石として使われる鉱物と比べると段違いに脆いため、宝飾用として用いられることは極めて少ないです。しかも水に溶けやすいこともあり、カルカンサイトの指輪・・・なんて絶対無理ですね。なんとも儚く美しい青い結晶です。

隠れ特性・ふしょくにも関係が

カルカンサイトとどくげしょうとの関係性について考察しましたが、キラフロルにはもう一つの特性としてふしょく(腐食)もあります。カルカンサイトと腐食の関係性についても考察してみましょう。

先ほども説明した通り、カルカンサイトの主成分は硫酸銅五水和物ですが、この成分は水に溶けることで弱酸性の水溶液になります。水溶液になった後もきれいな青色なのですが、液性が弱酸性ということで様々な金属を腐食します。おそらくキラフロルの腐食能力はこれに由来するものと考えられます。

もしかするとキラフロルがふしょくを発動させる時は、体を少しだけ水に溶かして弱酸性の水溶液を作っているのかもしれません。

ちなみにヤトウモリやエンニュートと同じく特性・ふしょくを持ちますが、キラフロルの腐食させる成分(毒)は彼ら(彼女ら?)とは違うようです。

エンニュートの毒に関する記事はこちら↓

おまけ:色違いのキラフロルの話

キラフロルの色違いは水色です。こちらも通常色に劣らずきれいですね。

天然で産出されるカルカンサイトは水色に近い色をしていますが、色違いのキラフロルの体色と近い感じがします。天然の鉱石は不純物も含まれるため、人工的に作った硫酸銅(Ⅱ)五水和物の純品の結晶と比べると白っぽく(水色に近く)なります。

とすると、野生で見かける青色のキラフロルは人工物で、色違いの水色のキラフロルは天然モノ(=個体数が少なくレア)ということなのでしょうか・・・?

エリアゼロの最深部に生息し、テラスタル現象と関係があるといわれるキラフロルですが、実は人工物説もでてきましたね。

とまてん
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キラフロルの生態、謎が深まるばかり・・・

まとめ

今回洞窟に咲くの毒の花・キラフロルについて、モチーフとなった鉱物の情報から科学的な視点で考察してみました。

他の鉱物系のポケモンたちとは違って見た目が華やかですが、毒のあるカルカンサイトがモチーフであり、キャラデザインや設定にしっかりとした科学的根拠があることが分かりました。そして特性の毒化粧と腐食にも主成分である硫酸銅の物性が反映されていました。化学をやっている身としてはここまで細かく設定されているのが嬉しい限りで、どんどん考察欲が増してきますね。

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